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「秋田モデル」の動向
<はじめに>
秋田県の自殺者数が減少した理由として、「官」「学」「民」連携の「秋田モデル」があげられる。当サイトでは、「秋田モデル」の概略と最近の動きについて掲載したいと思う。
<県・市町村、秋田大学、民間団体等の「官」「学」「民」の連携>
2006年10月に施行された「自殺対策基本法」の第二条4項に「自殺対策は、国、地方公共団体、医療機関、事業主、学校、自殺の防止等に関する活動を行う民間の団体その他の関係する者の相互の密接な連携の下に実施されなければならない。」と、「連携」が自殺対策を推進するための重要なキーワードであると明記されている。秋田県における連携の経緯を以下に述べる。

自殺対策基本法 施行以前)
2000年7月
「命の尊さを考えるシンポジウム」
秋田県・秋田県医師会共催


2000年12月
「いのちの日」街頭キャンペーン(以降毎年実施)
秋田県・秋田市・秋田大学・民間団体の連携

2001年
「自殺予防対策モデル事業」における「地域診断」
秋田県・秋田大学の連携

2003年
相談機関ネットワーク「ふきのとうホットライン」の構築
秋田県・民間相談機関の連携

2004年
秋田県健康づくり審議会 心の健康づくり推進分科会」
秋田県・秋田大学・民間団体の連携


(自殺対策基本法 施行以降)
2006年12月
「いのちの日―自殺対策新時代フォーラムー秋田」
秋田県・秋田大学・民間団体共催

2006年12月
「秋田・こころのネットワーク」設立
民間団体の連携

2007年5月
「秋田県多重債務者対策協議会」設置
秋田県・民間団体の連携

2007年12月
シンポジウム「秋田県の自殺対策を考える」
秋田県・秋田大学・NPO法人蜘蛛の糸共催
「地域自殺対策緊急強化事業」
県・市町村と民間団体の連携

2010年7月
「秋田ふきのとう県民運動実行委員会」設立
秋田県・秋田大学・民間団体の連携

2011年3月
「秋田県いのちの日」街頭キャンペーン
秋田県・秋田市・秋田大学・民間団体の連携

2012年3月
同 上

上記の中で、特筆すべき「連携」は、「官」「学」「民」連携の集大成といえる「秋田ふきのとう県民運動実行委員会」の設立である。2010年6月の設立発起人会の席上における、秋田大学本橋豊医学部長(当時)の、「県民運動は、民間主導で行うべきである」との提案により、会長に「秋田・こころのネットワーク」会長(当時)袴田俊英氏が就任した。そして、佐竹敬久秋田県知事と本橋豊先生が顧問になっている。役員には、医師会、看護師会、司法書士会、社会福祉協議会、老人クラブ連合会、民間団体の代表等が就任し、NPO法人蜘蛛の糸理事長佐藤久男が事務局長となった。
2010年10月に、「県民運動大会」が開催され、毎年3月1日を「秋田県いのちの日」と定めた。以降、平成12年に国が定めた「いのちの日」(12月1日)とともに、「秋田県いのちの日」に、毎年、早朝の秋田駅頭と各市町村における街頭キャンペーンを実施している。
この「秋田ふきのとう県民運動実行委員会」の設立とその後の活動が、自殺対策に対する秋田県民の意識改革を図り、秋田県の自殺者数の減少を加速させたといっても過言ではないと考える。
<自殺予防民間団体の活動「秋田・こころのネットワーク」>
秋田県の自殺予防の特徴に、熱心な民間団体の活動がある。
県内の自殺予防民間団体は、地域においてそれぞれ独自に活動していたが、平成18年10月の「自殺対策基本法」の施行を契機に、「蜘蛛の糸」理事長佐藤久男と「心といのちを考える会」の袴田俊英代表、「秋田グリーフケア研究会」の涌井真弓代表等が9団体に呼びかけ、平成18年12月1日に「秋田・こころのネットワーク」(佐藤久男が会長)を設立した。会員全員がゆるやかに連携し、秋田県の自殺率全国ワースト返上に寄与することを目的とし、活動を続けている。参加団体が増え、現在は会員数が37団体である。
参加団体は、個々の団体が独自に活動を続けながら、会員相互の交流と勉強会、地域シンポジウムの開催、相談を受ける会員のケア、自殺防止の啓発活動を行っている。平成23年度以降県の補助金により「いのちの総合相談会」を開催している。また、平成25年11月1日に、秋田・こころのネットワーク主催による自殺予防街頭キャンペーンを行った。これは、近年11月に多くなる傾向にある自殺者増加を防ぐための対策のとして実施したものである。今後も動向に応じた見据えた対策と、民間団体の強みである機動力の高さを活かした独自の活動を展開していく予定である。
「秋田・こころのネットワーク」及び民間団体が、秋田県民のいのちを守るために地道で積極的な活動を継続したことが、秋田県の自殺者数減少に大きく寄与したといえる。

<平成25年11月1日 秋田駅前アゴラ広場・大屋根下>