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第8回 孤独・孤立に関するフォーラム
内閣府・孤独孤立対策室開催「第8回 孤独・孤立に関するフォーラム」〜テーマ「中高年層」
特定非営利活動法人 蜘蛛の糸 理事長  佐藤久男の発言要旨です。

 日本の自殺者数の増減を約20年にわたって俯瞰すると2回の危機がありました。一回目は1998年の北海道拓殖銀行倒産、山一証券が破綻した金融危機を起因とする自殺者数の増加、2回目は2008年のリーマン破綻。前者は日本の自殺者数を2万台から3万人台に急増させ、後者は多くの若者を死に追い込みました。コロナ禍は前2回の金融危機に比べ、日本経済を収縮させて広範な地域と世代をこえた国民的危機の到来であると考えます。
 すでに2020年の全国自殺者数は増加に転じており、その80%以上は感染拡大地域の首都圏、大阪圏、近畿圏等の都市部の自殺者数の増加です。「3密」ができない飲食店、ホテル業、製造業などに勤務する非正規雇用や派遣社員の自殺者数が増加し、とりわけ女性の自殺者数は増加しております。都市部の自殺者数の増加は「タイムラグ」と「規模の差」をもって地方に波及してきました。
 別紙資料の通りコロナ感染者数と自殺者数の増加は相関すると考えます。コロナ禍後の自殺者数の増加を予測し、未然の防止対策が必要です。「死んだ人は再びこの世に戻りません」という現実を深く認識すべきです。

 いま秋田県の自殺対策は「秋田モデル」と呼ばれています。秋田モデルの特徴は民間主導型の民学官連携にあります。自殺率全国一という悲しみを自分の問題と意識した民間団体が組織を立ち上げ行政、大学と連携しながら啓発活動と相談業務に取り組んできました。「秋田モデル」は改正前自殺対策基本法の2条4項の「関係者の密接な連携」を敷衍したものにほかなりません。

 自殺を選ぶ人は4つ以上の多彩で複雑な悩みや問題を抱えて死に追い込まれるとのデータがあります。そのため、自殺を考える人の「いのちを守る」ためにはひとつの相談機関、ひとつの支援方法では自殺を防ぐことは容易ではありません。ひとりの人の自殺を防ぐために総合病院のような「いのちの総合相談機関」が必要であると考えます。
 当法人が20年の歳月をかけて構築した「いのちの総合相談会」は死ぬほど悩んでいる人はどんな相談機関を選択するであろうかという、相談ノウハウの蓄積と現場の視点から生まれた相談機関です。相談体制は弁護士、司法書士、臨床心理士、社会福祉士、精神福祉士などの専門家と経験豊富な民間団体の相談員の30人で構成されています。ワンストップの相談機関で相談者を「たらいまわし」にしません。
 「秋田モデル」の活動の成果は、2003年県内自殺者数519人のピークから昨年は172人と64%の減少したことに確実に表れております。(同期間の全国自殺者数は32%減少)2020年には自殺率ワーストは全国10位に改善されました。今後はさらに県民のいのちを守る活動を推進し、秋田県の自殺率がふたたび日本の自殺率の上位に浮上しない「地域風土つくり」に努めてまいります。       (2021年10月15日)


「LINE相談」の実績について


コロナ禍における若者対策として始まった「LINE相談」。8月から始まり、3か月で200人以上の相談がありました。今回はこれまでの実績の一部を紹介できればと思います。
年代別でみると、10代の相談者の方が最も多く、約34%となっています。次いで30代が28%、20代が27%となりました。性別では、78%が女性。10月までの相談内容で新型コロナ関連の悩みは4件と少なかったですが、秋田県でも感染者が増えてきたため、11月以降は増えている印象があります。
中には、LINE相談から電話・対面での相談に移行したケースも少なからず出てきており、ハイリスク群へのアプローチもできていると考えられます。今後は市町村別、自殺の危機経路などより詳細な属性の分析も進めていきたいです。
また、年末には地域社会・心理実践講座 教授の北島正人先生を招いて、聞くことに関する講義とケースカンファレンスを行いました。LINE相談は3月末でいったん終了ですが、その後も継続して取り組めるよう準備を進めていきます。相談員の学ぶ機会を作り、より質の高い相談を目指していけたらと思っています。

  (2021年1月28日)

「LINE相談」の研修会を行いました。


「8月から始まった「LINE相談」。コロナ禍における若者対策として始まり、早くも3か月の月日がたちました。現在は、臨床心理士や精神保健福祉士、産業カウンセラーなどの資格を持つ相談員をはじめ、うつ病、引きこもり経験者などのピアスタッフも相談員として参加しています。人数は約20人ほど、毎日16~21時まで3~4人の体制で相談を受け付けています。
先日は、蜘蛛の糸の事務所で「相談員研修会」を開催しました。これまでの相談実績をデータで振り返るとともに、事例検討も実施。相談員がクライエント、カウンセラー役に分かれて、実際の事例をもとにしたロールプレイを1時間ほど行いました。
クライエント役をした相談員からは、「深刻な悩みを抱えているときにLINEの返信が5分~10分空いてしまうと遅く感じる」「質問をされた意図が伝わらず、寄り添ってもらえていないように感じた」といったフィードバックがありました。メリットもありつつ、対面ではないオンライン相談ならではの難しさも多くあるようです。今後もよい良い相談を続けていくため、こうした研修の機会を設けていきたいと思っています。

  (2020年11月19日)

「インターネット相談」が始まる。


「インターネット相談」が始まる。 いつまでも「コロナ禍」に悩んでいるよりも自殺対策の行動を開始します。すでに、7月からは「面談相談」を開始しています。8月1日からはインターネットによる若者対象のオンライン相談がはじめました。さらに9月からは「電話相談」と「zoom相談」がスタートします。これでアナログの「面談相談」と若者を対象にした「ライン相談」及び「電話とzoom相談」を重層的に組み立てました。「コロナ禍」は日本にとっても、自殺対策「秋田モデル」にとっても過って経験のない対策になります。自殺対策には予測能力を事前の活動が必要。活動が、NHK秋田報、秋田魁新聞、河北新聞に当法人の活動が紹介されました。

  (2020年8月24日)

コロナ対策「いのちの総合相談会」始まる

中国で発症した「コロナ」は、またたく間に世界中に拡大し、感染者数800万人、死亡者数40万人を超える大惨事となりました。日本においても感染者数は1万人を超え、死者は1000人に近づいております。そのなかで秋田県は感染者数を16人でくい止め、日本でもめずらしい感染死亡者ゼロの県になりました。しかし、この間のインバウンドの禁止、移動制限及び営業の自粛等によってホテル、飲食業、観光業、下請け企業等は厳しい経済環境下にあります。倒産の増加、雇用喪失等の経済収縮を踏まえ、「経済問題」を中心とする事前の対策が迫られております。
密接、密集、密閉を厳守し、長年の相談経験と知見をかけて緊急コロナ対応「いのちの総合相談会」を2020年7月からスタートします.                        

(2020年6月24日)