統計から見る自殺対策


●図-1

日本の自殺者数は、平成10年(1998年)に初めて3万人を超え、32,863人になった。以降、3万人台を継続し、平成24年(2012年) にようやく27,768人に減少した(警察庁データ)。
自営業者の自殺者数は、平成10年の4,355人から、平成23年には2,689人(1,666人、38.3%減)まで減少している。

●図-2

秋田県の自殺者数は、平成15年(2003年)の519人をピークに、平成24年には293人(226人、43.6%減)まで減少した(厚労省データ)。

●図-3

日本の自殺者数が、1998年(平成10年)の31,734人から2012 年(平成24年)には26,400人と16.9%の減少に対し、秋田県の自殺者数は、1998年の450人から2012年には293人、34.9%と率にして2倍以上減少している。

●図-4

秋田県の原因別自殺者数は、「経済・生活問題」による自殺者数が平成15年(2003年)の204人をピークに、平成24年には31人(173人、84.8%減)と大きく減少している。「経済・生活問題」による自殺者数の大幅な減少が、秋田県全体の自殺者数を減少させたことになる。

●図-5

「蜘蛛の糸」の中核業務である自営業者の相談により、秋田県の自営業者の自殺者数が活動開始時点である平成14年(2002年)の89人から平成24年(2012年)には28人(61人、68.6%減)まで減少した。

●図-6

 警察庁データによる、平成24年と平成25年10月までの秋田県の自殺者数を見てみると、平成24年1月〜10月の自殺者数260人に対し、平成25年1月〜10月までの自殺者数は239人となり、21人減少した。
 平成24年の月別自殺者数の中で、自殺者数の多い月は、6月(34人)と11月(42人)であった。平成25年は、6月と11月の自殺者数を減少させることを目的として、6月と11月に「いのちの総合相談会」を開催した。
 平成25年6月の自殺者数は25人となり、平成24年より9人減少した。11月の自殺者数は、12月に公表されるが、「いのちの総合相談会」の開催が功を奏して、自殺者数が減少することを期待している。

●図-7

 平成25年11月の自殺者数を減少させることを目的として、11月1日に秋田駅前で「いのちの街頭キャンペーン」を行い、いのちの大切さを訴えた。また、11月に「いのちの総合相談会」を秋田市において2回、三種町において1回、合わせて3回開催した。相談者数は延べ17名であった。
 平成25年11月の自殺者数は31人と、前年の42人から11人減少した(秋田県警データ)。「いのちの街頭キャンペーン」と「いのちの総合相談会」の効果が表れたものと信じたいが、平成25年12月の自殺者数が27人と前年の13人から14人増加しており、自殺対策の難しさを実感させられた。
 それでも、平成25年1年間の自殺者数は297人と、前年の315人から18人減少(秋田県警データ)している。今後も、月別の自殺者数の増減に一喜一憂しながら、地道な活動を続けていきたいと考えている。

●表-1

[全国]前年(平成24年)・・・26,400人・21.0%
秋田県
○ 前年(平成24年)比、▲16人、自殺率は ▲1.1ポイント。4年連続の改善。
○自殺率は、1995年(平成7年)より、19年連続全国ワースト。2番目の岩手県と0.1%差、3番目の新潟県とは0.4%差。
○300人台を割るのは、1980年(昭和55年)以来32年ぶりだった前年に続き、2年連続。
○自殺率が30%台を割るのは、1994年(平成6年)以来18年ぶりだった前年に続き、2年連続。
○ピークの2003年(平成15年)比、▲242人、減少率は▲46.6%。自殺率は▲18.1ポイント減少。

 平成26年6月4日に厚生労働省より公表された平成25年都道府県別自殺率によれば、秋田県の自殺率は26.5となり、19年間連続で全国一であった。2位の岩手県とは0.1ポイント、3位の新潟県とは0.4ポイントの差である。
 一方、平成25年の秋田県の自殺者数は277人。平成15年の自殺者数519人(過去最多)から242人、46.6%減少している。自殺者数がこれほど大幅に減少しているのに、依然として自殺率全国一を返上できない。
 昭和40年頃の秋田県は、自殺者数200人程度で自殺率は全国の中位に位置していた。今後も、秋田県の年間自殺者数200人以下を目指して対策を継続していきたい。

●表-2
 

 当法人は、平成24年6月以降、警察庁発表による東北6県の月別自殺者数を集計・比較してきた(新潟県は平成25年3月以降)。
 平成26年6月末現在の秋田県の1月〜6月(累計)自殺者数は123人。前年より20人減少した。
 警察庁は月別自殺者数を発表しているが、自殺率(住所地の人口10万人当たりの自殺者数)を発表する厚生労働省は月別自殺者数を公表していないため、警察庁の月別自殺者数を基にして、平成26年の秋田県の自殺率を推定してみる。
平成25年の秋田県の自殺者数は、警察庁発表(発見地)では297人であったのに対して、厚生労働省発表(住所地)では277人であり、単純な比較はできないが、自殺率は住所地の自殺者数に基づいているため、平成26年1月〜6月の住所地の自殺者数が平成25年より20人減少し、7月〜12月は自殺者数が前年と同じと仮定すれば、平成26年の住所地の自殺者数は257人と推定される。
住所地の自殺者数が257人ということは、平成26年の秋田県の自殺率は24.7と推定でき、自殺率全国一の返上が可能となる。
 そこで、今年の後半は、自殺率全国一の返上に向け、月別自殺者数が昨年より増加しないよう、対策の手を緩めずに、徹底した啓発と相談を継続していくことが重要である。

●図-8
 

 当法人は、活動開始時点、平成14年の自営業者の自殺者数89人(ピーク時)を、平成23年までの10年間で約半数の45人以下に減少させることを目標として、相談・啓発活動を行ってきた。
平成22年の自営業者の自殺者数が43人(ピーク時の89人から51.7%減)に減少し、活動開始から9年目で、自営業者の自殺者数を45人以下にするという目標を達成できた。その後、自営業者の自殺者数は更に減少を続け、平成24年は28人(68.5%減)、平成25年は30人(66.3%減)と、ピーク時の89人から大幅に減少した。

●表-3
 

 平成26年8月末現在の月別自殺者数が警察庁より公表されたので、東北6県と新潟県について集計してみた。
 秋田県は、昨年比12人減で6月末の20人減から8人増加している。あと4か月で昨年比20人減を維持して、自殺率全国一の返上を実現したい。啓発と「いのちの総合相談会」に力を注いでいく必要がある。
 秋田県以外では、東日本大震災の被災地の各県の自殺者数が昨年より増加傾向にある。岩手県は2人減であるが、宮城県が16人増、福島県が13人増になっている。震災から3年半が過ぎ、現実の厳しさに直面して生きる希望を失う方が増えているのかもしれない。

●表-4
 

 平成26年11月末現在の月別自殺者数が警察庁より公表されたので、(表-3)と同様に東北6県と新潟県について集計してみた。
 秋田県は、1月〜11月の累計で、昨年比11人減少している。あと12月を残すのみであるが、年間で昨年比20人減を期待して、自殺率全国一の返上を実現したい。12月にも秋田県民のいのちを守るため「いのちの総合相談会」を開催することになった。
 秋田県以外では、1月〜11月の累計で、青森県が45人減、山形県が33人減、新潟県が37人減と、3県とも昨年より大きく減少している。一方、東日本大震災の被災地の各県の自殺者数が昨年より増加している。岩手県が5人増、宮城県が18人増、福島県が2人増になっている。震災の後遺症が消えるのはいつになるのだろうか。

●表-5
 
 平成26年12月末現在の月別自殺者数が警察庁より公表された。平成26年の秋田県の自殺者数は、前年比20人減の277人であった。
 平成26年6月末までの自殺者も、前年より20人減であった(前掲表―2参照)。この時点で、このまま秋田県の自殺者数が20人減を保ってくれれば、19年間続いた自殺率全国一を返上する可能性が大きくなると述べたが、12月末現在で20人減ということは、自殺率全国一の返上が現実味を帯びたと感じている。
 一方、平成25年の自殺率が秋田県の次に高かった岩手県は、前年比1人増となった。警察庁データと厚生労働省データでは自殺者数に違いはあるが、岩手県が自殺率全国一になる可能性が高まったと言える。
 岩手県のほか、宮城県34人増、福島県10人増と、東日本大震災の被災県が、いまだに自殺者数が減少する傾向を示していないことは、こころが痛む状況である。

あきた自殺対策センター 蜘蛛の糸

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