自殺対策への提言


2016年

2016年1月27日
2016年が始動しました。
昨年は「いのちの総合相談会」の定例化、市町村との連携活動、地域巡回講演や岩手県釜石市・大槌町での被災地支援活動、それに韓国・忠清南道からの国際シンポジウムへの招待などの活動に追われておりました。今年からは県内に軸足を移して自殺者数を「200人以下」にするための実践活動を展開します。14年間の知見と経験と統計データを駆使して「県民の命を守る」ための意見提言と現場での実践活動を推進していきます。

2016年1月15日に警察庁の集計(概数)で全国の自殺者数が発表されました。それによると、6年間連続の減少で、全国の自殺者数は23,971人。男性は16,641人(69.4%)、女性は7,330人(30.6%)でした。基本法の制定後9年目にして自殺総合対策大綱の目標である「24,428人」を切りました。最多は2003年の34,427人でしたから、1万人規模の「日本国民のいのち」が守られた結果になりました。

一方、秋田県の自殺者数は278人で前年の277人から一人増加しました。
横ばい状態と言っていいしょう。
この結果をどう思うかと、地元さきがけ新聞から取材を求められした。
「大幅な増加に転じなかったのは、これまで培った民学官連携の結果だ」
「だだ、これまでと同じやり方では、自殺者を減らすのは難しいのではないか。
高齢者対策と都市部など対象を絞った対策に軸足を移す必要がある」。とコメントしておきました。
2016年を起点に秋田県が、ふたたび「ワースト」登場しない目標を設定して活動を推進します。その数字は「200人以下」にすることにあります。どうすれば「200人以下」になるかについて実践方法の提案については次回から〜。15年目の自殺対策のスタートです。


2016年2月27日
目標の明確化
自殺対策の目標設定については次のように考えます。
1.過去10年間位の自殺者数の増減のトレンドから未来を予測する
2.過去の自殺数または自殺率の最も低かった年の人数を参考にする
3.民間、行政、大学、医師会等の活動団体の連携の親密度を勘案する
4.自殺問題についての理解度と啓発活動の普及の浸透等

全国ワーストを返上した秋田県の次の目標は自殺者数「200人以下」を目指すべきでしょう。
その根拠は
もともと秋田県の自殺率は高位であったわけではありません。昭和40年(1965年)の自殺者数は「201人」で、自殺率は19.7と全国28位でした。秋田県の自殺率が全国ワーストになったのは、昭和60年(1985年)からです。昭和60年の自殺者数415人、自殺率33.1。自殺率全国一は昭和61年に岩手県が、平成5年、6年に新潟県が一位になった年を除いて実質的に約30年間続いているといっていいのです。いま秋田県は年間一万人規模の人口減少が続いているので10人規模の減少では自殺率が動きません。日本全体、他県の自殺者数も減少しており、秋田県がワーストからの脱却を目指すならば全国、他県と同一程度の減少幅では「ワースト」を抜け出ないのです。自殺率が全国中位であった「美の国秋田」の昭和40年代に回帰しようとする目標が「200人以下」です。自殺対策は「住民の命を守る」活動であるから「目標は高ければ高い方がいい」に決まっています。しかし、達成できない目標は関係者に挫折感や疲労感が伴います。同時に統計上や論理的に整合性のない目標は活動団体の賛同を得られません。

地元秋田魁新報によると、2016年1月18日開催の「県自殺予防対策推進会議」(議長佐竹敬久知事)で堀井啓一副知事の発言として「前年から一人増となったが、近年の減少傾向を引き続き維持できたと言えるのでないか。ただ全国平均の水準には及ばない。200人以下まで減らすことを目指し、これまで以上の取り組みを進める必要がある」と報じています。目標数字として卓越した意見であると思いました。これからの「秋田モデル」にとって県、市町村、大学、民間団体等の関係者の目標数値と経験・知見と情報の共有が必要な時期に来ています。



あきた自殺対策センター 蜘蛛の糸

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